診療案内
症状について
頻尿 | ●オシッコが近い |
尿検査を行います。感染を伴う場合は膀胱炎としての治療を行います。 感染が伴わない、かつ残尿が病的では無い場合は過活動膀胱(OAB)として内服治療を行うことになります。 男性で残尿が多いか膀胱刺激症状が強い場合、前立腺の肥大の程度を触診や超音波で確認し内服治療を行います。 夏場はあまり見かけませんが、かかりつけの医師に脱水予防・血栓予防のために飲水を励行された結果、多尿となり頻尿を呈することもあります。飲水過剰で血栓を予防出来るという明確な報告はありません。心不全でも夜間頻尿を呈することもありますので、一度かかりつけ医へご相談ください。 |
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尿失禁 |
●オシッコに行きたいと思ったらトイレまで我慢できずに漏れる・漏れそうになる(切迫性尿失禁) ●トイレで用を足そうとして準備している間に漏れる ●クシャミやセキ、大笑いをすると漏れる(腹圧性尿失禁) |
頻尿の項でも記載しましたが、膀胱炎の診断がなされた場合はその治療を優先して行います。過活動膀胱の診断となれば症状の程度で内服治療を行うことも同様です。 クシャミやセキ、大笑いをすると漏れる場合は尿道括約筋の筋力低下が原因で腹圧性尿失禁と思われます。女性の場合は出産直後、閉経後に括約筋が弛緩して漏れやすくなります。軽度であれば骨盤底筋群体操(失禁体操)での軽減が望めますが、体操ですので効果を実感出来るまでに数ヶ月を要します。中等度・重度の場合は薬物療法、膀胱下垂が伴う場合は外科手術も選択肢となります。 男性では壮年、若ければ40才台後半から前立腺肥大症に罹患するかたが増えてきます。頻尿の項にも記載したように頻尿や後述するように排尿時間の延長などが主症状ですが、緩徐に進行することで“年だから”として放置されることもあります。前立腺が肥大し直上に存在する膀胱を刺激することで切迫性尿失禁を呈することもあります。さらに進行することで残尿過多となり風呂のお湯がこぼれるが如くオシッコが漏れる事態となります。これを溢流性尿失禁と言います。溢流性尿失禁は排泄路の狭窄を原因とする前立腺癌、前立腺肥大症、尿道狭窄(淋菌性尿道炎や脚立から転落するような会陰部の打撲が原因となります)の他、膀胱が収縮する機能が低下する排尿障害を原因とするものがあります。後者の代表としては糖尿病性神経障害・転倒転落に起因する脊髄損傷、直腸癌や子宮癌などの術後に生じる神経障害などがあります。 排尿の準備をしている合間に漏れるのは上記の様な切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、またはそれらを併せ持った混合性尿失禁でも起こりえます。その他、身体運動機能の低下や認知症が原因でおこる機能性尿失禁の可能性もあります。歩行障害のためにトイレまで間に合わない、あるいは認知症のために尿意やトイレをうまく認識出来ずに排尿出来ない等が考えられます。この場合は介護や生活環境の見直し、家人だけで抱え込まずに公的サービスの導入等を含めて対応が必要となってきます。 |
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排尿障害 |
●出始めまでに時間がかかる ●終わるまでに時間がかかる ●終わっても切れが悪い |
代表的な原因疾患としては前立腺肥大症があります。頻尿・尿失禁の項でも触れたように残尿や症状の程度に応じて内服治療を行います。その上で残尿過多、症状の軽減が不十分な場合は手術療法も選択肢となります。手術の方法は経尿道的な内視鏡による切除・レーザー蒸散が主体で開腹術は希です。 女性で残尿がある場合は、神経因性膀胱・低緊張性膀胱などを疑います。必要に応じて膀胱機能検査を行い、内服治療もしくはカテーテル留置、自己導尿を要することがあります。 その他 尿失禁の項に記載したように排尿機能障害が原因となっていることもあります。糖尿病治療中、整形外科で腰痛や下肢のしびれの治療をしている、外科や婦人科で手術の後から排尿の症状が出ているかたは、かかりつけ医へご相談いただいてもいいでしょう。 |
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血尿 |
●赤血球が尿に混じった状態 ●目で見てわかる血尿(肉眼的血尿) ●健診などで指摘されるような血尿(顕微鏡的血尿) |
排尿に際し痛みが伴うならば膀胱炎が原因かもしれません。発作的な腰背部痛を伴うならば尿管結石が原因の可能性が高いです。排尿痛や発熱に腰背部痛を伴う場合は腎盂腎炎かもしれません。いずれも原因疾患の治療で改善します。痛みも無く肉眼的血尿を来すもので最も注意を要するものは膀胱癌です。尿検査を行い感染が無いかごく軽度で異型細胞を伴うならば尿細胞診を確認。結果疑いがあるならばエコーやCT等の画像検査に進みます。腎細胞癌・腎盂癌・尿管癌・前立腺癌等尿路を形成している臓器に発生する腫瘍でも血尿が出ます。出血の程度によって尿路を閉塞するようになれば尿管結石のような腰背部痛や前立腺肥大症のような排尿障害を呈することもありますのでエコーやCT等の画像検索をすべきです。 |
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腰背部痛 |
●左右どちらかの背中(肋骨の裏辺り)から脇腹、下腹部にかけての発作的、持続的な痛み |
体を動かすことによって腰痛が悪化するなら整形外科的な腰痛を考えます。 逆に安静時、就寝時に発作的に痛みが起こる場合は尿管結石の可能性があります。尿管を結石が塞いで上流の腎臓が腫れたり(水腎症)、尿管を擦過することで疼痛や血尿を来します。 基本は結石が自排することを待機しますが、直径10mmを超えるものは自排困難なので衝撃波やレーザーによる破砕術を検討します。 腰背部痛で注意を要するものは消化管穿孔や胸部から腹部の解離性大動脈瘤が原因となっている可能性もあることです。特に解離性動脈瘤は人間の体感する痛みで最悪と言われ、高血圧のかたに発症することが多いです。冷汗をかくような腰背部痛を来した場合は救急車要請も躊躇すべきではありません。 |
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PSA高値 |
●健診や人間ドックでPSAが高いと言われた |
前立腺疾患である可能性が高い検査結果です。 健診を受ける最大の目的は“前立腺癌“の発見ですので 基準値であるPSA4以上であれば要受診と判断されます。年齢とともに数値はわずかに上昇していくものですので、40-50歳代とお若いかたであれば基準値未満でも精査を要することがあります。逆に80才を超えているかたでPSA4をわずかに上回ったからと言ってすぐさま異常とはならないこともあります。 前立腺肥大症でもPSAは上昇します。50才以上で前述されている排尿障害を伴うかたは前立腺肥大症である可能性が高いです。20-30才台でも前立腺炎に罹患するとPSAは上昇しますが、感染の治療を行うことで低下するので心配はいりません。 また数値と病状が必ずしも比例しないかたもいるので一度泌尿器科専門医にご相談下さい。 PSAが高値、さらに触診で癌を疑った場合の流れ 超音波やMRI等の画像検査を行います。腫瘍の局在を疑う所見を伴う場合、またはご年齢が40-50才台とお若い場合は疑い所見が無くても経直腸的超音波下前立腺多所生検を行います。MRIで腫瘍局在がはっきり疑われている場合はMRI同期生検を行う施設もあります。結果として癌の診断が付いた場合は病期診断(病気の進行度を調べること)を行い、それぞれのステージに応じて治療方法が提案されます。生検の結果、癌の診断が付かない場合も癌が否定されたわけではありません。PSA高値という“癌の疑い”は残るので PSAを数ヶ月ごとに定期的に経過観察をすることになります。 |
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